平成29年度 見学会の予定

  • 9月17日(日)第257回見学会(浜松市・新城市)
    「仏坂の戦いと井伊氏一門の攻防」
    見学先:渋川城・柿本城・仏坂古戦場・井平城
    担当理事:川村・斉藤・澤田 参加費:5,000円(非会員:5,500円) 
  • 11月19日(日)第258回見学会(御前崎市)
    「新野左馬助と新野郷の山城」

    見学先:八幡平城・舟ヶ谷城・天ヶ谷城平・佐馬武神社と資料館
    担当理事:水野・各務 参加費:5,000円(非会員:5,500円)
  • 平成30年1月21日(日)第259回見学会(伊豆市)
    「北条早雲シリーズ・パート1」
    見学先:柏久保城・大見城・狩野城
    担当理事:望月保宏・宮川 参加費:5,000円(非会員:5,500円) 
  • 3月18日(日)第260回見学会(大月市)
    「武田三名城・岩殿城と小山田氏」
    見学先:岩殿城・猿橋・勝山城
    担当理事:乘松・澤田 参加費:6,000円(非会員:6,500円) 
  • 4月21日〜22日(土日)第261回見学会 (一泊二日・津市、松坂市)
    「国司大名・北畠氏と伊勢の山城シリーズ」
    見学先:田丸城・霧山城・北畠氏館跡・大河内城・松坂城など
    担当理事:望月保宏・小川 参加費:24,000円(非会員:26,000円)

実施月の初旬に「Webのろし」で詳細をご案内しますので、参加希望の方はその時、お申し込みください。

 

平成29年度定期総会と「ふじのくに山城セミナー」の報告

平成29年度定期総会と第25回研究成果発表会「ふじのくに山城セミナー」を7月16日、静岡市清水区の清水テルサで開きました。

会員約40人が参加した定期総会では、28年度の事業報告と決算報告、29年度の事業計画案と予算案等を承認。29年度も「城郭の構造と運用を、楽しく学び・調べ・究めよう!」をスローガンに『縄張図集成』の編纂事業や県内外への見学会等に取り組むことを発表しました。『縄張図集成』編さん事業では、24年に発刊した駿河国版に続いて、遠江国版、伊豆国版の発刊に向けて調査、研究、執筆を推進することを確認しました。
水野会長はあいさつで「研究会を名乗る以上、『縄張図集成』の発刊が最優先事業となる」と強調。県西部で次々と城館跡が発見されつつも調査が進んでいない現況を示し、会員のさらなる協力や若手調査員の育成を呼びかけました。

総会後、一般者を加え約90人が聴講した「ふじのくに山城セミナー(研究成果発表会)」では、静岡市出身で大河ドラマ「おんな城主・直虎」の時代考証を務める大石泰史氏(大石プランニング主宰)が「室町以前の井伊氏―その系譜と文書から見た関連城郭―」をテーマに記念講演されたほか、会員3氏が研究成果を発表しました。

大石泰史氏の記念講演

大石氏は史料の記述や一族の名の変遷などから井伊氏の来歴や系譜を整理し、南朝や北朝、今川氏、斯波氏などとの関わりを解説。時代とともに変化する城郭の運用方法を明らかにされました。
系譜については、「良」「共」「直」といった通字の使われ方によって嫡家や庶家が入り交じる複雑な家督継承を解説しました。井伊氏の所領は三河と遠江の結節点にあり、舟運にも恵まれ、領内に分布する庶家も含め、かなりの経済力を持っていたことを説明されました。南北朝期から戦国期まで運用された三岳城については、井伊氏の本拠井伊谷からやや離れた位置にあり、嫡流がいなくなった後に南下してきた渋川井伊氏が使っていた可能性も指摘されました。
その上で「これまでは、嫡庶を視野に入れずに井伊氏を考察してきたが、今後はいろいろな系統の井伊氏がいたことを認知する必要がある」とまとめられました。

研究成果の発表では川村晃弘副会長、平井登事務局長、水野会長が登壇しました。

川村晃弘氏の発表

川村副会長は「宗長親王と駿遠の城郭」をテーマに発表。▽宗良親王と『李花集』の「暗号」▽南北朝期の「城郭」は「シロ」か▽天下分け目の井伊谷大戦」▽安部城と狩野介貞長▽宗良親王はいつ駿河に来たのか―といった視点で、駿遠両国を中心とした親王の動向や城郭との関わりをまとめた成果を関連の資料や写真を示しながら説明しました。

平井事務局長のテーマは「檜峠・菩提山中腹に謎の砦遺構を発見」。藤枝市滝沢と島田市伊久美の境をなす菩提山の中腹(標高570㍍)に、今年3月発見したばかりの城郭寺院遺構について写真を交えて紹介しました。今川氏の宰相・太原崇孚雪斎が開山したと伝わる菩提山領珠院跡地とその上に展開していた砦遺構について、縄張り構造から読み取れる運用を説明しました。

平井登氏の発表

特に、天正期を彷彿させる明確な横堀と土塁、その横堀に前後を挟まれた細長い曲輪と楕円状の窪みを狼煙場と捉え、また、食違い虎口西側斜面の土塁と横堀は高天神城や丸子城に通じる武田系城郭の技巧的な構造であると説明した。その上で、本遺構は武田末期における西駿河の山間奥地と志太平野の拠点城・田中城を結ぶ「繋ぎ城」であり「狼煙台」の蓋然性が高いとし、天正九年六月六日付の穴山信君書状に示された「峠普請」に該当する可能性を指摘しました。

水野茂氏の発表

水野会長は昨年に引き続き、『縄張図集成』編纂事業で調査を進めている森町にスポットを当て「山城から見る森町一宮地域の戦国史」をテーマに発表しました。太田川左岸の同地域に数多く存在する城郭の中から武田系の8カ城を厳選してスライドで紹介。森町一帯で5期にわたって繰り広げられた武田・徳川両氏の抗争を説明しました。一宮地域の城は大規模な駐屯地または曲輪を備えた二郭構造が特徴的で、同じく二郭構造の武田系城郭が集中する御前崎市新野地域と同様、高天神城への策源地化した蓋然性が高いと指摘。「勝頼の極めて広大で強力な軍事行動が読み取れる」と考察しました。

水野会長と平井事務局長の発表を詳しくまとめた論文、川村副会長の関連論文は同日発行した機関誌『古城』61号にも掲載していますのでご覧下さい。
(文責:金刺信行)