第258回見学会のご案内

井伊家の大恩人 新野左馬助と新野郷の山城

左馬助を祀る左馬武神社

 大河ドラマ「おんな城主直虎」で、井伊家の大恩人の役どころとなっている新野左馬助公は、“今川系新野氏”といわれます。本領が御前崎市の新野郷にあったことから、同市では佐馬助公ゆかりの史跡を活かしたプロジェクト事業を展開しています。とりわけ、山城群は見学しやすく整備され、また、本会の前名誉会長・故 鈴木東洋氏の邸宅も「新野左馬助公展示館」として再利用され諸資料を公開しています。
昨年度の「ふじのくに山城セミナー」で、森町一宮地区の7つもの密集した山城についての研究成果が発表されましたが、同様に新野地区にも隣接し合う6つの山城が確認されています。同地区周辺の戦国抗争史からこの山城群は、天正2年(1574)以降の武田vs徳川による高天神城の攻防戦との関係が考えられています。ただ、裏付ける史料・文献が少なく仮説の域ではあるものの、武田方による策源地(後方支援基地)としての築城が有力視されています。保存状態の良好な遺構から、諸賢の考察・検証による新たな見解も期待したいところであります。

  • 実施日:平成29年11月19日(日曜日) *小雨決行
  • 見学先:篠ヶ谷砦・八幡平の城・舟ヶ谷の城山・新野左馬助公展示館・左馬武神社・天ヶ谷の城平〔脚力レベル: 3/5〕
  • 参加費:会員5,000円・非会員5,500円  当日朝バス内で集金
  • 乗り物:市沢バス 〔集合場所:静岡駅南口・ロータリ交差点付近〕
    大井川以西の参加者はJR菊川駅南口に集合
  • 身支度:ハイキング程度の服装(滑りにくい靴・雨具)・弁当飲物類
  • 担 当:水野会長・各務理事
  • 申込み:こちらから(非会員の参加も大歓迎)定員(28人)になり次第締め切り
  • 日 程:8:00 静岡駅南口出発 → 東名・静岡IC → 8:15 日本坂PA下り(トイレ休憩) → 8:50 東名・菊川IC → 9:00 JR菊川駅南口(大井川以西の参加者集合場所)→ 下平川 → 磯部 → 新野原 → 9:25 篠ヶ谷砦 → 八幡平の城(相慈院で昼食) → 舟ヶ谷の城山 → 観光案内所「よってまいか」(休憩)→ 新野左馬助公展示館 → 左馬武神社 → 天ヶ谷の城平 → 15:40 出発 →  16:00 JR菊川駅南口 → 16:10 東名・菊川IC → 16:40日本坂PA上り → 東名・静岡IC → 17:00 静岡駅南口帰着

【新野郷の地理的、軍事的環境】

八幡平の城 本曲輪

新野郷は駿河湾に面する相良(港)から真西に約8㎞の内陸に位置し、武田VS徳川の争奪拠点である高天神城へは、さらに真西へ約8㎞と最も近距離で移動するためのライン上に当たる。このことは、天正2年以降の武田勝頼にとって遠江支配の実権を死守するうえで戦略上重要な策源地になり得たことを意味している。

定説的に「篠ヶ谷砦」「八幡平の城」「舟ヶ谷の城山」「天ヶ谷の城平」と信玄期から勝頼期にかけての城域拡大により、あるいは城郭研究者の考察分類により4つに分けられる城砦群であるが、現存する遺構から総体的に高天神城の陥落とほぼ同時期に運用された縄張りと捉えられるようである。

舟ヶ谷の城山遠望

天ヶ谷の城平 本曲輪

ライン上にあって、西の高天神城側(天ヶ谷・舟ヶ谷)に従い標高を下げつつ戦闘的構造が強化され、標高を上げた東側(八幡平・篠ヶ谷)は広域から参集する軍勢の収容と陣立てを主な機能とみる水野会長の見解は説得力がある。
(平井)

第257回見学会延期のお知らせ

仏坂の戦いと井伊氏一門の興亡

台風18号が見学会予定日の17日に静岡県にもっとも近づくと予想されたことから、延期することを決定しました。延期日は、10月1日になります。10月1日なら参加できる方は、若干空席がありますので「webのろし」からお申し込みください。

天気予報士が「夏は過ぎ暑い秋がやってくる」と“言い得て妙”の長期予報を発表しました。さて、今回の見学会は大河ドラマ「おんな城主 直虎」の展開と照らした企画でもあります。先般の『ふじのくに山城セミナー』記念講演で大石泰史氏が話されたように、「井伊氏の系譜は直線的ではなく、数度にわたって傍系が総領となったと考えられるが、江戸時代の公式な系図ではわからなくなっている。また、武田氏の侵攻で滅亡した支流もある」との研究報告を踏まえて、井伊氏の一族である渋川井伊氏、井平井伊氏の両居城を訪ね、井伊氏惣領家との関係を探りながらその興亡について考えたいと思います。元亀三年の武田勢の侵攻による“仏坂の戦い”は、三方ヶ原の戦いの前哨戦のひとつでした。山県勢は柿本城から仏坂・井平城をへて井伊谷に乱入し、井平氏一門・井伊谷三人衆の鈴木氏などが打撃を受けました。仏坂古戦場は旧鳳来寺街道にあり、傍らには戦死者のものとされる古墓(ふろんぼ)も残されています。古戦場のある古道を歩き、昔の戦いを少しでも体感してみたいとお思いの方にはお勧めの行程です。大勢のご参加を期待しております。

  • 実施日:平成29年10月1日(日曜日) *小雨決行
  • 見学先:渋川城跡・井伊共保の墓・渋川井伊氏の墓・東光禅院の井伊直親供養塔・柿本城跡・満光寺・旧鳳来寺街道・亀之丞隠れ岩・ふろんぼ様・仏坂古戦場・井平城跡など〔脚力レベル: 3/5 〕
  • 参加費:会員5,000円  非会員5,500円  当日朝バス内で集金
  • 乗り物:市沢バス 〔集合場所:静岡駅南口・ロータリ交差点付近〕
  • 身支度:ハイキング程度の服装(滑りにくい靴・雨具)・弁当飲物類
  • 担 当:川村副会長・齋藤理事・澤田理事
  • 申込み:こちらから(非会員の参加も大歓迎)
  • 日 程:※今回試験的に発着地以外の乗り降りは、東名高速のインターチェンジではなくパーキングエリア(PA)からの乗り降りとさせていただきますので、最寄りのPAをご確認のうえお申込みください。
    8:00 静岡駅南口出発 → 東名・静岡IC → 8:15日本坂PA下り → 乗車希望のPA下り → 9:10 三方ヶ原PA下り → 9:15 浜松西IC → 10:30 ~ 11:15 渋川城跡・井伊氏墓所・東光院 → 11:45 ~ 13:30 柿本城跡(昼食)・満光寺 → 13:45 ~ 16:30仏坂・井平城跡など → 16:50 浜松西IC → 各PA上り → 18:00 静岡駅南口帰着

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平成29年度定期総会と「ふじのくに山城セミナー」の報告

平成29年度定期総会と第25回研究成果発表会「ふじのくに山城セミナー」を7月16日、静岡市清水区の清水テルサで開きました。

会員約40人が参加した定期総会では、28年度の事業報告と決算報告、29年度の事業計画案と予算案等を承認。29年度も「城郭の構造と運用を、楽しく学び・調べ・究めよう!」をスローガンに『縄張図集成』の編纂事業や県内外への見学会等に取り組むことを発表しました。『縄張図集成』編さん事業では、24年に発刊した駿河国版に続いて、遠江国版、伊豆国版の発刊に向けて調査、研究、執筆を推進することを確認しました。
水野会長はあいさつで「研究会を名乗る以上、『縄張図集成』の発刊が最優先事業となる」と強調。県西部で次々と城館跡が発見されつつも調査が進んでいない現況を示し、会員のさらなる協力や若手調査員の育成を呼びかけました。

総会後、一般者を加え約90人が聴講した「ふじのくに山城セミナー(研究成果発表会)」では、静岡市出身で大河ドラマ「おんな城主・直虎」の時代考証を務める大石泰史氏(大石プランニング主宰)が「室町以前の井伊氏―その系譜と文書から見た関連城郭―」をテーマに記念講演されたほか、会員3氏が研究成果を発表しました。

大石泰史氏の記念講演

大石氏は史料の記述や一族の名の変遷などから井伊氏の来歴や系譜を整理し、南朝や北朝、今川氏、斯波氏などとの関わりを解説。時代とともに変化する城郭の運用方法を明らかにされました。
系譜については、「良」「共」「直」といった通字の使われ方によって嫡家や庶家が入り交じる複雑な家督継承を解説しました。井伊氏の所領は三河と遠江の結節点にあり、舟運にも恵まれ、領内に分布する庶家も含め、かなりの経済力を持っていたことを説明されました。南北朝期から戦国期まで運用された三岳城については、井伊氏の本拠井伊谷からやや離れた位置にあり、嫡流がいなくなった後に南下してきた渋川井伊氏が使っていた可能性も指摘されました。
その上で「これまでは、嫡庶を視野に入れずに井伊氏を考察してきたが、今後はいろいろな系統の井伊氏がいたことを認知する必要がある」とまとめられました。

研究成果の発表では川村晃弘副会長、平井登事務局長、水野会長が登壇しました。

川村晃弘氏の発表

川村副会長は「宗長親王と駿遠の城郭」をテーマに発表。▽宗良親王と『李花集』の「暗号」▽南北朝期の「城郭」は「シロ」か▽天下分け目の井伊谷大戦」▽安部城と狩野介貞長▽宗良親王はいつ駿河に来たのか―といった視点で、駿遠両国を中心とした親王の動向や城郭との関わりをまとめた成果を関連の資料や写真を示しながら説明しました。

平井事務局長のテーマは「檜峠・菩提山中腹に謎の砦遺構を発見」。藤枝市滝沢と島田市伊久美の境をなす菩提山の中腹(標高570㍍)に、今年3月発見したばかりの城郭寺院遺構について写真を交えて紹介しました。今川氏の宰相・太原崇孚雪斎が開山したと伝わる菩提山領珠院跡地とその上に展開していた砦遺構について、縄張り構造から読み取れる運用を説明しました。

平井登氏の発表

特に、天正期を彷彿させる明確な横堀と土塁、その横堀に前後を挟まれた細長い曲輪と楕円状の窪みを狼煙場と捉え、また、食違い虎口西側斜面の土塁と横堀は高天神城や丸子城に通じる武田系城郭の技巧的な構造であると説明した。その上で、本遺構は武田末期における西駿河の山間奥地と志太平野の拠点城・田中城を結ぶ「繋ぎ城」であり「狼煙台」の蓋然性が高いとし、天正九年六月六日付の穴山信君書状に示された「峠普請」に該当する可能性を指摘しました。

水野茂氏の発表

水野会長は昨年に引き続き、『縄張図集成』編纂事業で調査を進めている森町にスポットを当て「山城から見る森町一宮地域の戦国史」をテーマに発表しました。太田川左岸の同地域に数多く存在する城郭の中から武田系の8カ城を厳選してスライドで紹介。森町一帯で5期にわたって繰り広げられた武田・徳川両氏の抗争を説明しました。一宮地域の城は大規模な駐屯地または曲輪を備えた二郭構造が特徴的で、同じく二郭構造の武田系城郭が集中する御前崎市新野地域と同様、高天神城への策源地化した蓋然性が高いと指摘。「勝頼の極めて広大で強力な軍事行動が読み取れる」と考察しました。

水野会長と平井事務局長の発表を詳しくまとめた論文、川村副会長の関連論文は同日発行した機関誌『古城』61号にも掲載していますのでご覧下さい。
(文責:金刺信行)

諏訪原城跡 講演会ご案内

 

 

 

 

 

 

 

平成29年3月に復元された諏訪原城跡「二の曲輪北馬出の門」についての講演会です。同箇所の発掘調査の成果に基づき、どのように復元工事が行われたのか。また、復元までの過程や戦国時代に城門はどのような機能と役割を持っていたのかなどを分かりやすく解説していただきます。講師は、広島大学大学院教授・諏訪原城跡整備委員会副委員長の三浦正幸氏です。

詳細は、チラシ画像をご覧ください。お申し込みは、往復はがき・ファックス・メールいずれかで、氏名、住所、電話番号、参加人数を記入の上、下記までお申し込みください。

427-0042 島田市中央町5番の1 島田市教育委員会文化課文化財係
電話:0547-36-7967   ファックス:0547-37-2500
メール:bunkazai@city.shimada.lg.jp

平成29年度「定期総会」と「ふじのくに山城セミナー」のご案内

定期総会と日頃の研究成果の発表の場であります「ふじのくに山城セミナー」のご案内です。今回のセミナーでは、まず記念講演として大河ドラマ「おんな城主・直虎」の時代考証担当者・大石泰史氏の井伊氏研究についてお話をいただきます。
続く会員3名の研究成果もたいへん興味深い内容ですので、どうぞご期待ください。
当日は、会員のみならず大勢の山城ファンにお集まりいただければ幸いです。

  • 日  時:平成29年7月16日 (日)  9時30分から受付・10時開会
  • 会  場:静岡市東部勤労者福祉センター「清水テルサ」6階 研修室(大)
    静岡市清水区島崎町223 TEL. 054-355-3111
  • 交 通:<電車> JR清水駅・東口より徒歩で約5分
    <駐車場> 清水テルサの有料立体大駐車場が利用できます。
  • 申込み:  参加申込みはこちら 締切日:7月13日(木)
  • 昼 食:各自ご持参ください。(同会館8階にレストランあります)
  • 徴 収:年会費(5,000円・会員の方)、
    〇ふじのくに山城セミナー資料代(1,000円)
  • 頒 布:機関誌『古城』第61号は、当日受付にて頒布します。

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